コミュニティ人材によるマルチセクトラル活動の実施

マルチセクトラルアプローチは、栄養改善において複数のセクターが連携・協力して行われるアプローチです。これは、栄養問題が単一の分野だけでは解決できないことを認識し、異なるセクターが連携することでより効果的な解決策を見出すための取り組みです。本プロジェクトでは、プライマリ・ヘルス・ケアサービスを提供する保健医療従事者とコミュニティ人材1の能力を強化し、コミュニティ人材1によるマルチセクトラルな活動を実施することにより、母子栄養の改善を図っています。

トトニカパン県サンタ・マリア・チキムラ市カサブランカコミュニティは本プロジェクトの優先コミュニティの一つであり、教育省の推進する「(仮訳)成長への伴走(Acompáñame a Crecer)」プログラムの対象地域でもあります。このプログラムは、0歳から4歳までの子どもたちの権利を保障し、健康と栄養、安全と保護、学習の機会を提供することで、栄養不良の予防と早期教育の強化に取り組んでいます。

プログラム活動の一環として、教育省の担当者から母親らを対象とした研修が定期的に開催されています。本プロジェクトでは、母親らが集まるこの研修の機会を利用して、保健医療従事者とコミュニティ人材による母子栄養改善活動を展開しており、コミュニティ人材は、現地語(キチェ語)で慢性栄養不良や健康的な食事に関する説明を行ったりしています。コミュニティ人材からは、「プロジェクトの研修で学んだことを、今度は自分たちがコミュニティの人々に伝える番である」との意気込みが聞かれ、母子栄養改善に向けた力強い使命感が感じられました。同プログラムでは、食糧給付も行われており、健康的な食事推進環境の促進と母子栄養改善の知識の獲得を通し、子どもたちの健やかな成長につながっています。

なお、これらの組織間連携の仕組みづくりは、マルチセクターの調整機関である大統領府食糧栄養安全保障庁(SESAN)のリーダーシップのもと、市レベルにおける調整を通じて行われています。また、市レベルに配置されているSESANのモニタリング担当者は、市やコミュニティレベルでのモニタリング、評価、フォローアップ活動を通じて、食糧栄養安全保障に係るプログラムの実施が効果的に行われるよう支援を行っています。

※1母子栄養コミュニティ人材:コミュニティにおける母子栄養改善のためのPHCサービスの提供を支援する役割を果たす、機能しているコミュニティレベルの既存ボランティア

【画像】

写真1:保健医療従事者によるアイスブレーク

【画像】

写真2:母親らに母子栄養教育を行うコミュニティ人材(写真:右)と研修の支援をするSESAN担当者(写真:中央)

【画像】

写真3:母親らに衛生啓発を行う保健医療従事者